1. 概要
・フルードパワーは、流体【気体、液体】のエネルギーを利用して、機械や装置を動かしたり停止させたりする駆動方式です。もちろん物体を変形させたり加工したりもします。
・流体の種類により、【空気圧・水圧・油圧】駆動・システムと呼ばれ、機械式や電動式の駆動方法と区別されます。
・流体は、何らかの容器がないとそこに留まることなく、拡散したリ流れ去ってしまい、実体がありません。
・しかし、例えば筒状の密閉容器に入れ、その一端を押し込んでいくと圧力が発生します。この圧力は容器内のどの点にも均等に、かつ容器の壁面には直角に作用します。これがパスカルの原理です。
・この原理をもとに、配管によってもう一つの密閉容器に流体を押し込むと、その一端が押し出されます。これがフルードパワーの原点です。
2. 歴史
・最初は水が利用されました。古くは “水そのもの” を利用するための装置を起源とし、アルキメデスが筒内のねじを回して水をくみ上げる原理(スクリューポンプ)を記述し、またエジプトのテシビアスが手押し井戸ポンプ(レシプロポンプ)を発明しています。いずれも紀元前のことです。
・その後、だいぶ時を経て本格的に “水の圧力” を利用するようになります。1590年前後にラメリのベーンポンプやセルビエの歯車ポンプやウイングポンプが考案され、パスカルの原理が1653年、その実用例となるブラマーの水圧機(プレス)は1795年です。
|
・1800年代はイギリスにおいて水圧駆動の装置が種々発明、実用化されます。アームストロング卿の水圧クレーン、ビッカース・アームストロング社の蓄圧器(アキュムレータ)、ロンドンのタワーブリッジの跳ね橋駆動装置、等々。パリのエッフェル塔のエレベータも最初は水圧駆動だったようです。これらは単なる水の圧力の利用というより“水の動力(エネルギー)”を利用する装置といえます。
・この当時は、蒸気機関、発電機・電動機、ガソリン・ディーゼルエンジン、電車なども出現します。まさに産業革命です。
・油圧は1900年代になって良質の潤滑油や、密封性能の優れたシールが入手できるようになってから急速に拡がりました。代表的な機器は、トーマのアキシャルピストンポンプ、ウイリアムとジャネーの油圧伝動装置、ヘルショウのラジアルピストンポンプ・モータ、ビッカースのベーンポンプ、等々。
・一方で、電気自動車、飛行機、量産型自動車(T型フォード)などの交通機関の出現により、世界が近くなったのがこの時代です。
・空気圧は比較的最近のことです。近代の水圧は2000年以降です。これらは、それぞれの駆動方式の説明の項で少し触れることにしましょう。
Now loading...